【ネタバレ】鑑定士と顔のない依頼人〜絵画のように芸術的なラスト

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縁あって「鑑定士と顔のない依頼人」を観ました。

 

観終わった後に「他の人はどう解釈したんだろう?」と気になると同時に、

感想・考察を書かずにはいられなくなったので、ネタバレしながら振り返ります。

 

犯行グループは5人

主人公ヴァージルの絵画コレクションを盗んだのは次の5人でした。

 

  • ヴァージルの長年の共犯者ビリー
  • 機械技師のロバート
  • 物語の中心人物であるクレア
  • クレアの使用人フレッド
  • ロバートの恋人サラ

 

こうして見ると主要人物みんなグルだったんですね。

 

妻

これは人間不信になる・・・

 

 

続いてそれぞれのキャラクターについて振り返ってみます。

 

田中
田中

主要キャラクターは全員グルだった!

ビリー(黒幕)

今回の黒幕は、ヴァージルと長年の共犯関係にあったビリーです。

 

「クレアの母の肖像画」にサインを入れてヴァージルに送りつけることで、自身の犯行であることを示しました。

 

妻

あのサンタクロースみたいな白ひげの人!

 

ビリー黒幕説の根拠

ロバートでもクレアでもなくビリーが黒幕である根拠ですが、

盗まれたのがヴァージルが長年かけて集めた秘蔵コレクションだったことが何よりの証拠です。

 

あの絵画コレクションの存在をあらかじめ知っていたのは、共犯関係だったビリーだけですからね。

 

ビリーの動機は長年の恨み

ビリーの犯行の動機ですが、ヴァージルが自分の才能を認めなかったことでしょう。

 

ヴァージル最後の競売の日、帰ろうとするヴァージルをビリーが呼び止めてこう言いました。

 

「君が信じてくれたら俺も偉大な画家になれた。君に絵を送ったよ

 

絵というのは言うまでもなく、クレアの母の肖像画のこと。裏にはビリーのサインが入っています。

もうヴァージルと会うのは最後だと思い、犯行動機を暗に伝えたのでしょう。

 

田中
田中

だからってあれはヒドイ・・・

ロバート(機械技師)

ヴァージルからの信頼を得た男

機械技師のロバートは、ヴァージルから2つの信頼を得ていました。

 

ひとつは機械技師としての技術力

部品を拾ったヴァージルが、真っ先にロバートの元を訪れていることからも、大きな信頼を寄せられていることが伺えます。

 

もうひとつは恋愛についてですね。

ヴァージルはロバートの助言をとても頼りにしていました。

(実際はロバートに誘導されてクレアに興味を持ちはじめたわけですが・・・)

 

ヴァージルから2つの信頼を得て立ち回ったロバートは、クレアと並んで犯行のキーマンと言えますね。

クレア(依頼人)

この物語の中心人物。

ヴァージルの心を巧みに操り、コレクションルームへの入室を許されます。

広場恐怖症

『人前に出られない』という変わった病気ですが、

潔癖症のヴァージルに似た者同士と感じさせるよう設定したのでしょう。

 

『顔がわからない』というのもミステリアスで興味を惹かれますしね。

 

妻

顔出しが早すぎて邦題と合ってない

 

興味を引くための行動

犯行を成功させるには、ヴァージルがクレアに好意を持つ必要がありました。

とは言え、ただ美人なだけではヴァージルの気を引くことはできません。

 

広場恐怖症という設定はもちろんのこと、

拒絶したと思ったらまた電話をかけてきたり、

あえて突き放すような発言や行動も、すべて計算づくだったわけですね。

 

田中
田中

くすぐり方が絶妙でした。

フレッド(使用人)

あの家がレンタルだったという点から、使用人フレッドがグルなのも明白ですね。

第三者が証言するのがポイント

普通に考えて、『人前に出られない病気』と言われて信じるのは難しいですよね。

疑い深いヴァージルならなおのことでしょう。

 

そのヴァージルに嘘を信じ込ませるためには、フレッドの存在は必要不可欠だったと思います。

 

第三者であるフレッドがクレアについて語ることで、嘘の信憑性が増したわけです。

 

田中
田中

視聴者を信じ込ませる役割もありました

 

さり気ない誘導

後から考えたときにすごく上手いなぁと関心したのが、

フレッドがヴァージルに「扉の開閉は音を立てて」

と忠告するシーン。

 

「音を立てろ」とあえて忠告することで、自然な流れでヴァージルに覗き見を促したのです。

 

田中
田中

ダメと言われるとやりたくなるやつ

サラ(ロバートの恋人)

共犯かどうかがわかりづらかったのが、ロバートの恋人役のサラでした。

しかし、クレアが競売の取りやめを決断する場面に同席している点など、共犯でないとしたら不自然です。

 

ヴァージルの嫉妬心を煽る

サラが最も活躍(?)したのはここ。

『ロバートがクレアの話ばかりしている』

とヴァージルに告げるシーンですね。

 

おそらくヴァージルの嫉妬心を煽り、クレアとの関係を発展させようとしたのでしょうが、逆効果となってロバートを遠ざけられてしまいます。

 

中盤でロバートがサラと言い争っているシーンは、この事についてロバートが咎めているのだと推測できます。

物語のポイント

結末を知った後に物語を見返してみると、今回の計画がいかに綿密に練られていたかがわかります。

誕生日にかかってきた電話

まず、クレアからの最初の電話です。

普段は助手が電話を受けますが、たまたまヴァージルの誕生日にかかってきたため、ヴァージル本人が電話に出たんですよね。

 

ヴァージルがゲンを担ぐ性格であることを踏まえて、誕生日に計画を実行したのでしょう。

 

都合よく置いてある歯車

ヴァージルはクレアの屋敷でたびたび歯車を見つけます。

 

鋭い観察眼を持つヴァージルは、この歯車にピンと来てロバートの元へ訪れるわけですが・・・

ここでのポイントは、ヴァージルが何度もロバートの元へ訪れるよう、オートマタの部品を小出しにしていった点です。

 

最初にすべての部品を置いてしまっては、ロバートの元を訪れる理由がなくなりますからね。

 

向かいのカフェにいる小人

屋敷の向かいのカフェにいる小人の女性こそ、屋敷の所有者であり本物のクレアでした。

本物といっても、ただ単に偽名として使われていただけであって、この女性は犯行グループではありませんが。

 

ロバートが『オートマタの中には小人が入っていたりして』と発言したり、

たびたびカフェで意味ありげに数字をつぶやくシーンがあるなど、

「なにかあるんだろうなぁ・・・」

と思いながら観ていた方も多かったのではないでしょうか。

 

田中
田中

パスポートの名義確認シーンはこのためにあったのね

 

クレアの失踪

物語中盤で、クレアが屋敷から失踪する事件が起きましたが、

あれはロバートたちにとっても想定外のトラブルだったのだと思われます。

 

クレアは200回以上もあの屋敷を出入りしていたのですから、たまたまヴァージルが来た時に外出していたのでしょう。

なので、カフェにいる人が「公園の方に向かっていった」と証言したのは事実だったわけです。

 

ちなみにあの時、『他にも隠し部屋が無いか』『見てないのは屋根裏だけ』などとクレアの居場所を匂わせていたのは、他でもないロバートフレッドでしたね。

 

ビリーの失言「会えなくなるのは寂しい」

最後の競売を終えたヴァージルに対して、ビリーがかけた言葉です。

仕事を辞めたからといって、会えなくなるわけではありませんよね。

 

あの後に姿をくらます予定だったビリーとしては、本心が思わずこぼれてしまったのでしょう。

 

ヴァージルに「会えなくなるのか?」と聞き返されて、慌てて訂正していました。

ラストシーンの解釈

映画を見終わってから、いろいろな方の感想を拝見したのですが、ラストシーンについては人それぞれ解釈が異なっているようです。

 

推測にはなりますが、私なりの解釈は次のとおりです。

 

レストランが後か病院が後か

疑問に思った人が多そうなポイント、

レストラン「ナイト&デイ」でのシーンと、病院のシーンは時系列的にどちらが後なのか?

というもの。

 

どちらが先かで、結末の印象が真逆になる重要なポイントです。

 

レストラン -> 病院の場合、

クレアが話していたレストランに行ったものの再会はできず、最終的に心を病んで入院生活となった。

 

田中
田中

心が痛むバッドエンドですね

病院 -> レストランの場合、

騙されたショックから一度は心を病むものの、懸命なリハビリの末に回復。

クレアが話していたレストランを訪れ、甘い思い出に浸る。

 

田中
田中

こっちはまだハッピーエンドに近いかな

わたしの解釈としては、後者です。

理由は以下の2点。

 

  1. リハビリの描写がある
  2. ラストだけ時系列順にしないのは不自然

 

1点目はリハビリ描写です。

病院では車椅子に乗るだけでなく、懸命にリハビリをしているシーンも描かれています。リハビリというのは回復傾向を印象づけるものですから、最終的に回復しないのであれば、むしろ無いほうが自然です。

ですから、リハビリの末に回復してプラハに移住したと見る方が素直だと考えました。

 

もう一点は、時系列が入れ替わることの不自然さです。

『レストラン -> 病院』の順だと仮定すると、それまでずっと時系列通り進んできた映画なのに、ラストだけ時系列順でなくすのは不自然に思えます。

ヴァージルが盗難を知った後、入院生活とネタバラシのシーンが錯綜しますが、あれはヴァージルが精神を病むほどのショックを受けたのだと印象づけるためだと思っています。

あれだけ美しいラストシーンだったのに、その後に入院生活が待っているなんて考えたくありません・・・

 

レストランにはクレアと待ち合わせていた?

これも何人かの方が書かれているのを拝見しました。

病院で受け取った郵便にはクレアからの手紙があり、クレアに会うためにリハビリを重ねて回復し、ナイト&デイで待ち合わせていた。

というもの。

 

確かに病院で郵便を受取るシーンには何らかの意図があると思われます。

クレアからの手紙もあったのかもしれません。

 

が、

 

ナイト&デイで待ち合わせてはいなかった、というのがわたしの解釈です。

 

根拠はもう直感としか言えないんですが、ナイト&デイでの店員とのやりとり。

 

店員「お一人ですか?」

ヴァージル「・・・・・・いや、連れを待ってる」

 

この答えるまでの間のとり方です。

 

この質問、クレアとの待ち合わせであれば即答だったはずです。

 

ですがヴァージルは、さみしげな表情で何かを考えたように間を置いてから答えています。

 

あの時のヴァージルの頭にはクレアがいたのでしょう。

連れを待っている、と言いたくなる気持ちはなんとなくわかる気がします。

感想

見ているのが辛かった

婚約者も、絵画も、長年の相棒も、友人も、なにもかもを一瞬で失ったヴァージル。

おまけに精神を病んで入院生活・・・

 

60過ぎまで女性と関係を持つことすらなかった男の恋心を利用してのだまし討ち。

ネタバラシには鮮やかさを感じたものの、それ以上にヴァージルが不憫すぎて胸が痛くなりましたね。

だからこそラストはハッピーエンドだったと思いたいというのもあります。

 

田中
田中

騙された感よりも辛さの方が上だった

ラストシーンは絵画のような美しさ

あのナイト&デイでのラストシーンは本当に美しかったです。

 

店内に掛けられたさまざまな時計、

せわしなく動く歯車、

光と影の加減、

ヴァージルの憂いを帯びた表情、

これらが合わさって絵画のように美しい構図を作ってるんですよね。

 

良い小説を読んだ後の読後感、のようなものを感じられるラストシーンでした。

 

田中
田中

劇場で観たかったなあ・・・

 

いい映画だった

いろいろ書きましたが、いい映画でした。

周りに紹介したいんですが、なんて言って勧めればいいか迷いますね・・・

「ネタバレは見ちゃダメだよ」って言うのはそれはそれでネタバレに近いですし。

うーん・・・

 

それではまた。

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