「下船病」という病名、聞き慣れない方が多いと思います。
この病気は症例が少なく、今まではあまり知られていませんでした。
日本テレビ系の「ザ!世界仰天ニュース」で取り上げられてから認知度が高まったようです。
私は以前、専門医の診察を受けた際に下船病と診断されました。
幸いなことに、今は症状は出てません。
今回は、私が下船病が発症した時の事を振り返って書いてみます。
下船病とは
船から降りた後や長い地震のあと、地面が揺れているような錯覚を経験したことがある方、
結構いるのではないでしょうか。
通常、この揺れは数時間で収まります。
しかし、下船後の揺れが数週間、場合によっては数年以上続くケースがあります。
これを下船病と呼ぶそうです。
揺れている感覚がするだけならまだマシな方。
症状が悪化すると、実際に身体が揺れてしまうそうです。
しかも周りの人に分かるぐらいに揺れるとか。
病気に関して素人があれこれ書くのは避けたいので、詳細は専門家のページ等でご確認下さい。
いつ発症したか
私が下船病を発症したのは、小笠原諸島の父島へ旅行した時でした。
父島は東京から南に約1000km離れた東京都の離島で、なんと飛行機で行けません。
最も一般的な行き方は、おがさわら丸というフェリーで片道25時間かける方法です。
つまり往復で合計約50時間の船旅、なかなか普段の生活では体験しない長時間のクルーズですよね。

長すぎて飽きそう・・・
異変を感じたのは、旅を終えて帰宅した翌日のことです。
立ち止まったときに、床が奥に向かって傾いている感覚がするのです。

前に向かって倒れ込みそうな感覚がした
でも不思議と、座っている時は違和感はないんですよね。
2日くらいで元に戻るだろうと思っていたのですが、2週間経っても戻る気配がありませんでした。

さすがにこれは何かがおかしい。
横浜に専門の病院を発見
不安になってインターネットで情報を調べたところ、
めまいやメニエール病を専門にしてる横浜の病院がヒットしました。
その病院のサイトの中で、下船病のページを見つけるわけです。

あ、ひょっとしてこれじゃないの?
その病院「めまいメニエール病センター」に行ってみることにしました。
公式サイトを載せておきます。横浜駅から徒歩で行けます。
田中、下船病と診断される
病院で症状を伝えると、何やら謎の体重計マットみたいな機械の上に立たされました。
身体の揺れ・重心の動きを読み取る機械だそうです。
数分後、機械の出力結果とともに診断結果が告げられました。

軽度ですが下船病ですね。
珍しい病気です。あなたで◯人目ですよ!

全然うれしくない・・・
先生の話では、下船病という名前ではあるものの、原因は船に限らないそうです。
継続的に揺れるもの、エレベーターや遊園地の乗り物、地震で発症する人もいるとか。
東日本大震災では多くの方が発症したと聞きました。

病院の症例リストに載せられたよ
治療はどうしたのか

これぐらいの揺れなら、
1ヶ月以内に収まるでしょう
私の場合、重心の揺れが軽度だったそうで、様子見を提案されました。
そもそも原因がはっきりと解明されておらず、当然治療法も確立されていない。
効く保証のある薬も無いそうです。
※当時はそう言われましたが、今は違うかもしれません。
というわけで様子見してたら、1ヶ月弱で症状が収まりました。

専門家の言うことを信じてよかった!
最も気をつけるべき事
とりあえず症状は収まったわけですが、油断はできません。
先生に繰り返し言われた事があります。

二度と船に乗らないようにしてください。
再発して取り返しのつかないことになる可能性があります。
なんと衝撃の乗船ドクターストップ。
下船病は再発するらしいです。
しかも恐ろしいのは、再発すると1回目よりも悪化するとの事。

アナフィラキシーショックみたい
船に乗れない、ってそこまでする必要あるの?
って思いますよね。私も思いました。
でも、悪化した場合の話を聞いて考えが変わりました。
数年経っても身体の揺れが収まらない人
身体が揺れ続けてデスクワークができず、仕事に就けない人
悪化した中にはそういった方もいるそうです。
そんなわけで私はほとんど船に乗りません。
どうしても必要な場合は乗りますが、それでも短時間です。
このまま一生クルーズを楽しめないと思うと寂しさはあります・・・

船に乗るのはダメ!再発して悪化するらしい
船酔いとは全然別物

ところで、下船病って船酔いとは違うの?
下船病の症状について人に話すと、船酔いと混同される事がしばしばあります。
ですがこれらは全然別物だと思ってます。※注 あくまで体験者の感想です
船酔いは、身体が揺れに順応できずに起きる現象で、
私の場合、激しく揺れる釣り船や高速船に乗っている時に起きる事が多いです。
それに対して下船病は、身体が揺れに順応して起きるもの。
身体が揺れを記憶していて、揺れがなくなってギャップが生じているという印象です。
その為、船に乗っている時は至って平常で、異常が起きるのは降りてからです。
下船病という名前もここから来ています。
実際わたしも、おがさわら丸に乗っている時は船酔いは一切なく、
降りてから揺れを感じるようになりました。

船酔いと下船病は別物です。
おわりに
なにぶん数年前の事なので忘れかけているところもありますが、下船病についての体験をまとめてみました。
長い船旅などをする予定のある方は、頭の片隅にでも置いておいてください。
発症する方は決して多くはないそうですが、
もし1日2日経っても揺れている感覚が抜けない場合は、医師の診断を受ける事をおすすめします。
それではまた。