最近フクロウカフェが増えましたよね。
数年前は都内でも数えるほどしかありませんでしたが、爆発的なフクロウブームにより、今では数十件あるそうです。
フクロウカフェがこれだけ増えれば、当然フクロウを飼ってみたいと思う人も多くなっていると思います。
そこで今回は、わたしがフクロウを飼っていたときの実体験を元に、フクロウを飼う前に検討しておいた方がよい点をまとめました。
ちなみに私が飼っていたフクロウです。残念ながら病気で他界しました。
ベンガルワシミミズクという、比較的飼育しやすいと言われている中〜大型の種族です。
この子を飼育するにあたり、考えられるデメリットや問題を時間をかけて検討しました。
フクロウを飼う前には、良い面ではなく悪い面に着目して、自分はそれでも飼うことができるか?を考えるのが重要です。
飼育の準備や検討をされている方は、この記事を最後まで読んでから、飼うかどうかを決めていただければと思います。

実際にフクロウを飼っていた経験をもとにお話しします
目次
餌の問題
まずは餌の問題です。
フクロウの飼育についてネット検索すると、真っ先に目に入る情報でしょう。
フクロウのエサはネズミやウズラ
フクロウは主に肉食ですので、以下のようなエサを与えます。
- ネズミ
- ウズラ(卵ではなく親鳥)
- ヒヨコ
- ミルワーム
- コオロギ
野生の場合は他にもいろいろと食べますが、人が飼う場合はこれらの餌をローテーションで与えるのが一般的です。

ネズミとかウズラが主食です
フクロウ用のペットフードは少ない

フクロウ用のペットフードは売ってないの?
犬猫と違い、フクロウ用に加工された餌はほとんどありません。
最近はフクロウブームの流れを受けて、猛禽用のジェルフードなどが販売されはじめていますが、これだけ与えていればOKと言える製品はまだありません。

まったく無いわけじゃないけど、期待しないほうがいいです。
基本はネズミ・ウズラの解体
じゃあエサはどうするのかというと・・・
冷凍のウズラやネズミを、キッチンバサミと手で細かくさばきます。
エサ用に売っているウズラやネズミは基本的に加工されていません。
内蔵もあるし、頭、手(羽)、足、すべてそのままです。
そのため、皮を剥いで内蔵や脂肪を取り除き、食べやすいサイズにカットする必要があります。

腸などには病原菌がいる恐れがあるので取り除きます
当然手は血だらけになりますし、可食部以外は生ゴミになります。
夏場はニオイ対策をしないと、ひと晩で腐敗臭がキッチンに充満します。

ムリ、ぜったいムリ
一度「フクロウ エサ ネズミ」あたりのキーワードで画像検索をして、ご自分の耐性を確認してみるのをオススメします。
フクロウカフェなどでエサを解体する所を見せてもらうという手もあります。

魚をさばく感じでネズミやウズラをさばきます
スーパーで売っている肉では栄養不足

鶏肉ならスーパーにも売ってるけどダメなの?
スーパーで売っている鶏肉は、血抜きがしてあるために栄養価が低いのです。
エサが買えない時の緊急用として与える分には問題ありませんが、
精肉だけを与え続けると栄養失調になる恐れがあります。

スーパーの精肉では栄養不足です
自宅の冷蔵庫にネズミ置けますか?
さて、ネズミやウズラは冷凍品ですので、保管場所と解凍場所が必要です。
保管にはもちろん冷凍庫を使いますが、解凍場所や余ったエサの置き場は冷蔵庫になります。

ムリ、ぜったいぜったいムリ
衛生面・精神面を考えると、エサ用の冷蔵冷凍庫を用意するのが無難でしょう。
ですが、冷蔵庫を2つ置くスペースがないという方も多いと思います。
その場合、冷蔵庫にウズラやネズミを保管することを、家族に理解してもらう必要があります。
餌を解体するのは自分の問題なのでどうとでもなりますが、家族の理解を得るのは簡単ではありません。
「自分は独り暮らしだから平気」
と思っている方も、将来結婚・同棲した時、あなたのパートナーが許容してくれるかは検討に含めたほうが良いでしょう。

エサの置き場は超重要ですよ
- 生のウズラやネズミを自分の手で捌けるか
- スーパーの精肉ではダメ
- エサ用冷蔵庫を用意できるか
- 用意できない場合、同居人の理解を得られるか
鳴き声の問題
フクロウはしつけができない為、犬と違って鳴き声は防げません。
ですがインコやオウムと違ってうるさく鳴くイメージがない為、マンションでも飼えると考える方が多いようです。

鳴き声に油断しちゃいけません。
フクロウも大声出します
確かに普段は大人しいんですが、フクロウもケタ違いに大きな声を発する時があります。
テリトリーコールと呼ばれる、周囲に自分の存在を知らせる鳴き声です。
これ、初めて聞いた時はゾッとしました。
形容が難しいですが、まるでゲームに出てくる魔物の叫び声のよう。
しかも普段とは比較にならない大音量です。
わたしは実家暮らしだったので良かったですが、マンションだったら間違いなく苦情が来てました。それぐらい大きな音です。

しかも厄介なのが夜中に鳴くんですよね・・・
「うちの子は大人しいよ」を信じちゃダメ
フクロウの鳴き声は、同じ種類でも個体によって違います。
なので、

うちのフクロウは全然大人しいし大丈夫だよ
という話を聞いても鵜呑みにしてはいけません。
たまたまその人の個体が大人しいだけ、ということもあります。
もしマンションやアパート(ペット可の物件でも)で飼育される場合は、念頭に置いておいてください。
- 鳴き声が近所に響いても大丈夫か
- ペット可の物件に住み続けられるか
飼い主の健康問題
ペット飼育全般に言えることですが、飼う側の人間の健康も気にする必要があります。
アレルギーがある人は特に注意です。
ハウスダストすっごい出ますよ
鳥を飼ったことがある方はわかるかと思いますが、鳥の身体からは脂粉(しふん)という細かい粉が大量にでます。
どれくらいの量かは個体によって異なりますが、
- 部屋の隅に白い粉が溜まる
- 空気清浄機のフィルタが1ヶ月で真っ黒になる
くらいには大量に出てました。
脂粉が出るのは異常ではなく、むしろ健康な証拠なのですが、人間の健康には良くありません。
喘息持ちの方などは特に注意してください。
- 喘息やアレルギーはないか
- 空気清浄機を置けるか
お金の問題
ペットを飼うにあたって重要な問題のひとつがお金ですよね。
フクロウも例に漏れずお金の問題がついて回ります。
フクロウの個体は高額
フクロウは高額です。
文鳥や小型インコと違い、気軽に購入できる価格ではありません。
大抵は25万〜40万円、希少な種類になると100万円近いものもいます。

そんなに高いの・・・
飼育環境づくりにもお金がかかる
個体だけでなく、飼育環境を整えるための初期費用がかかります。
考えられるものを挙げるとこんな感じです。
- ファルコングローブ(腕に乗せるときのグローブ)
- アンクレット(脚に付ける革の輪)
- 猛禽飼育に関する書籍
- とまり木
- ケージ
- 空気清浄機(脂粉対策)
- エサ用冷蔵庫
- デジタル秤
高額なのは冷蔵庫・空気清浄機でしょうか。
とまり木(ファルコンブロック)の既成品は非常に高いので、DIYをオススメします。
大型種はエサ代も高い
もちろん動物なので、月々の餌代もかかります。
わたしの場合は、中型のベンガルワシミミズクで毎月10000円くらいの餌代がかかっていました。
小型のフクロウであれば食べる量も少ないので、3000円程度で済むと思います。
ちなみにエサのコスパですが、量・栄養価を考えるとウズラが最強です。

エサ代はフクロウの大きさ次第
医療費が高い
さて、ここまでのお金は飼育前にほとんど試算できるものです。
想定外に膨れ上がることはほぼありません。
問題なのは医療費です。
一度病気になると、半端ない額のお金が飛んでいきます。
一体いくらぐらいかかるのか。
私のケースでお話しすると以下のような感じでした。
薬代 : 約5000円/月
診察費 : 2000円/回
血液検査 : 約30000円
真菌検査 : 約20000円

すごく高い・・・
トータルでどのぐらいの費用がかかるかは病状次第ですが、一度体調を崩すと50000円くらいは簡単に飛んでいきます。
入院ともなれば、1日15000円以上かかります。
最近はアニコム損保など、フクロウを対象としたペット保険も出てきています。
飼育される際はペット保険を検討されることをおすすめします。

保険がないと医療費で赤字になるよ
20年払い続けられるか
お金の問題で大事な点がひとつ。
フクロウは長寿な生き物で、健康体であれば寿命は約20年です。
幸いにも長生きしたとして、経済的に問題なく飼育できそうかを考えてみて下さい。
- 数十万の初期費用が出せるか
- エサ代を払い続けられるか
- 万が一の時に医療費を捻出できるか
- 20年生きても払い続けられるか
動物病院の問題
上で医療費の話をしましたが、それに関連して動物病院の問題です。
猛禽類を診られる病院は少ない
そもそも猛禽を診てくれる動物病院って凄く少ないんです。
フクロウは鳥類ですが、食生活や習性、身体の構造が他の鳥とは違う為、他の愛玩鳥と同じノウハウでは対応しきれないそうです。
住んでいる場所にもよりますが、何かあってから病院を探しても見つからない可能性があります。
わたしも飼育前に、近場の動物病院に片っ端から電話で確認しましたが、すべての病院で
「うちでは診られない」
と断られました。

安請け合いされるよりはマシだけど辛い
結局、車で1時間弱のところに猛禽を診てもらえる病院があり、私はそこにお願いすることにしました。
都内であれば猛禽に知見のある動物病院がいくつかありますので、飼育前に必ず確認しておきましょう。

動物病院は最初に探しておきましょう
- 近くに猛禽を診てくれる病院があるか
- ほとんどの動物病院は猛禽類を診てくれない
気性の問題
フクロウは愛らしい容姿から、人に懐くイメージがあるかもしれませんが、それは誤解です。
フクロウは慣れるけど懐かない
よく言われる話ですが、フクロウは人に懐きません。
個体差はあるのでもちろん断言はできませんが、私の周りでは懐いているフクロウというのは聞いたことがありません。
ただし、懐きませんが慣れはします。
どういうことかと言うと、
- 近くにいても警戒しない
- 与えた餌を食べてくれる
- 攻撃してこない
という感じです。
要は
「エサ係だからテリトリーに入れてやろう」
と思われてるわけです。

エサ係としか見てないのね・・・
見慣れない人には容赦なく攻撃
では、エサ係でない人がテリトリーに入ってきたらどうなるか。
大抵の場合は、攻撃します。
見慣れない巨大生物がテリトリーに入ってきてるわけですから、当然といえば当然。
攻撃の程度ですが、つつくとかの可愛い感じじゃないです。
手加減なく顔面や後頭部を狙って飛びかかります。
フクロウの爪はアイスピックのように鋭く、力も強いです。
下手をすると何針か縫う大怪我を負う事になります。

うちに遊びに来た人も大抵攻撃されてました。
小型種の場合は、怯えて動かなくなって餌を食べなくなるケースがあるようです。
これはこれで命に関わりますから問題ですね
フクロウにとっての新顔(客人、配偶者、生まれた子供、新しいペットなど)を迎え入れる際のトラブルを避ける為にも、隔離できる部屋やケージがあるのが望ましいです。
- 隔離できる部屋やケージは用意できるか
まとめ
ちょっと長くなりましたが、フクロウを飼育する前に検討したほうがよいポイントをご紹介しました。
フクロウと共存するのは簡単ではありません。
ですが、一緒に暮らすと楽しく幸せな時間を過ごせるのも事実です。
フクロウ飼育を検討されている方は、十分に検討を重ね、準備を済ませた上で迎え入れて頂ければと思います。
それでは。
フクロウの飼育についての本はこちら。